2012年6月1週分

■年金型生保二重課税を還付 総額 160億円に

年金形式で受け取る個人生命保険金(年金も受け取れる生命保険ですな)に相続税と所得税の両方をかけるのは違法な二重課税と最高裁が判断。国税局が取り過ぎていた税金の還付を始めたところ、2012年3月までに還付金の総額が160億円に上ることがわかった。税法上の時効は5年だが、10年遡って還付請求する制度もでき、さらに増える可能性。

所得税法では「相続によって取得したものに所得税を課さない」と規定。ところが国税局は「年金型で毎年受け取る年金は相続財産とみなさない」とし、これまで所得税を課してきた。でも、2010年に最高裁が違法と判断して、事情が変わった。

キーワード:年金型生命保険(厚生年金や基金とは全く別物の個人年金)。二重課税は税法上違法(最高裁判例)。還付請求の時効は「5年」。特例で「10年」。

 

■東電が企業年金の給付水準下げ

(2012,6,5)

東京電力は対象OB(受給者)の3分の2の同意が得られたため、年金額を引き下げると公表。人件費大幅減で経営再建を狙う。

3分の2? 根拠を調べたら、「確定給付年金企業法」の6条に明記してあった。習ってないけど。

キーワード:企業年金の「変更」は、受給者の「3分の2以上」の同意。東電は現役社員の年金も引き下げるとしているが、こちらは「労働組合の同意」が必要。

 

■2011年の合計特殊出生率は1.39人。

(2012,6,6)

1人の女性が一生に産む子供の数を示す「合計特殊出生率」が2010年と同じ「1.39」人に。過去最低(1.26)を記録した2005年以来微増していたが、団塊ジュニア(71~74年生)の高齢化で頭打ち。僕と妻は団塊ジュニアで子供3人、出生率向上に貢献。食費&学費しんどいけど。

 

■国会で「産休中の年金保険料免除」について議論。

少子化は年金制度に影響を与える。合計特殊出生率の横ばいを受け(上の話)、早速国会で議論。争点は以下。

・育休中の保険料免除に加え、産休中も免除にせよ
・パートなど非正規雇用者にも同じ制度を適用せよ。

最近はパートで働く人が多いのに、国民年金には厚生年金のような免除制度がない。1号保険者女子の保険料も免除したら少子化がちょっとは改善されるかも?

キーワード:厚生年金の保険料免除は子供が「3歳」になるまでの「育休中」のみ。6週/8週の産休中は免除にならない。国民年金加入者には免除の制度なし。

 

■30年専業主婦をしていても、年金額は26年。どうして?

(毎日新聞「教えて年金」より)

専業主婦は「第3号被保険者」に分類され、最長「40年」の年金がもらえる。ところがどっこい、3号の制度が導入されたのは「1986年」。それより前に専業主婦になった人は、「任意加入」でその期間がカウントされない。例えば1982年に結婚退職した女性は、最初の4年がカラ期間となり、年金額は26年分。あなたはどうですか?

 

■生活保護の不正受給、罰則強化へ

(2012,6,5)

 お笑いコンビ「次長課長」の河本の母親が生活保護を受けていた問題で、生活保護の罰則強化が決定。現状では「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」。2012年2月現在、生活保護の受給者数は209万7401人。戦後混乱期の205万人を上回る。生活保護費はなんと3兆7000億円。こりゃ、国庫パンクするぞ。

ところで次長課長の河本は不正をはたらいたの?

いやいや、子供には親の扶養義務があるけれど、実際に親を援助するかどうかは「自由」。経済的余裕はもちろん、人間関係も考慮されるから、仲の悪い親への援助を拒否しても、違法じゃありません。河本も「道徳的」にはよくないけれど、「法的」には問題ないし、処罰もされない。

かえって、今回の河本事件が生活保護申請のハードルをあげる懸念。以下、ほんとの話。

福祉事務所「あなた、財力あるお子さんいるんだから子供に援助してもらいなさい」(申請拒否)
親不孝の子供「あんたの面倒なんか見ない。生活保護を受けろ」(援助拒否)
老人は板挟み状態で餓死。もちろん、生活保護費で酒飲んでる不埒な輩もいるけれど。