将棋の大山康晴十五世名人は生前、こう語ったそうです。
「得意の手があるようじゃ、素人です。玄人にはありません」
飛車角から歩兵まで自在に使えないようではプロ棋士ではないと。(読売新聞2014.1.23)
実のところ、代筆屋が独立にあたって最も心配だったのが「器用貧乏」であることでした。
何でもソツなくこなせるのだけど、「これが得意です!」と胸を張って言えるジャンルがない。
かつての上司はこう言いました。
「何でもできるってことはつまり、何にもできないのと同じだよね」
そうかもしれません。
「このジャンルだったらあの人に頼もう」とすぐ名前の出てくる人は、
仕事を得られやすいというのも事実です。
サッカーの評論を書かせたらピカイチの人に出会いました。
歴史の評論を書かせたら右に出る者はいない、という人にも出会いました。
物語を書かせたら小説家よりも面白いことを書く人にも出会いました。
さて、俺は?
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でも、今は「器用貧乏大いに結構!」と思っています。
代筆屋のもとには日々、いろんな依頼が来ます。
創立10周年記念パーティーでの挨拶代筆、
就活中の大学生からのエントリーシート代筆、
この転職に人生を賭ける30代男性の職務経歴書代筆、
昇進試験を控えた40代女性の論文添削、
塾で忙しい小学6年生の学校作文の代筆、
結婚式に読むお嬢様からお母様へ当てた手紙、
逆にお母様からの手紙、、、。
今のところ、「これって私(の文)じゃないみたい」とお叱りを受けたことはありません。
また、代筆屋は「フリーライター」という職業を名乗っていますので(フリーターではありません^^;)、代筆だけで暮らしているわけではなく、出版社様やデザイン会社様からライターとしての仕事も多くいただいています。
その依頼も、
ビジネス書籍用のお堅い文章だったり、
飲食や美容口コミサイト用の軽めのタッチだったり、
大手企業経営者の講演記事だったり、
女性読者向けミニコミ誌のコラムだったりと、実に様々。
器用貧乏だからこそ、これだけいろんなタッチで書けるのだと思っています。
「私ってこれと言った特技がないのよね、、、」と悩んでいる方、
「特技がない=何でもできる」と代筆屋は思っています。