短文に起承転結はダメですよ~。

このページを訪問して下さった方の中には、採用試験の「小論文対策」でお悩みの方もいらっしゃるかと思います。

「どひゃー、こんどの採用試験、小論文あるのかよ~」
「一般常識は一夜漬けでなんとかなるとしても、作文はまるでダメだし~」

よく、「すぐ書ける小論文」といった類の本には、「起承転結で書こう」なんてセオリーが書いてありますが、そもそも起承転結とは小説などの物語文で用いられる構成であって、いわゆる説明文である小論文には向いていません。

小論文には「序論・本論・結論」の三段論法が最適です。

「序・本・結?」と聞いただけであたまがクラッとした方もいらっしゃるかと思いますが、難しく考えることはありません。私は自分の生徒さんには「ABCで行こう」と教えています。

A → 事実
B → 自分の考え
C → まとめ

実際の例文を見て下さい。テーマは「原発」です。

国内の原発50基が全て止まった。オイルショック後、我が国は脱・化石燃料を目指して原発を基幹エネルギーに据えてきたが、それがかえって仇となった形である。今年の夏は電力不足への懸念から、ことさらに「節電」を強いられそうだ。

仮に震災直後のような計画停電が行われたら、多くの企業は活動を制限され、日本経済は大きな痛手を受けるだろう。それを防ぐために、私たちでもできることがある。例えば、無駄な電力を少しでもカットするためにエアコンの設定温度を低くする。あるいは使用しない家電のプラグをコンセントから抜く。一人ひとり、一軒一軒の取り組みは小さいが、「塵も積もれば山となる」のたとえもある。

同じことわざに「焼け石に水」というのもあるけれど、焼け石になってしまう前に、草の根的に取り組みを広げていかなければならない。地面が焼け付く暑さになるくらいならまだいいが、経済が焼け石になってしまうと、秋以降もショックが続く。

Aは原発稼働ゼロという事実を伝えています。Bは計画停電が行われるようになったらこうしよう、という自分の考え。Cがまとめです。Bは「仮に」から、Cは「同じ」から。それぞれ107文字、180文字、112文字となっており、総文量は399文字、およそ原稿用紙1枚です。難しい言葉は使用していません。誰でも知っていることわざをからめています。最後にブラックジョークを入れることで文章が高尚な印象に移ります。

とにもかくにも「ABCで行こう」です。事実→自分の考え→まとめ、この構成でいけば、課題が何文字であっても文章はとても収まりが良くなります。

「いや、やっぱり無理だし」という人は、代筆屋にご相談ください。